美城常務がアイドルの個性を無視するのは多分こんな理由

前回のブログで皆様から多くのブックマークとツイートを頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。

アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」の二期も物語が順調に進んでいるようですね。これまで美城常務のプロジェクトに抜擢されたアイドルが参加を拒否する話が何度か続きました。アイドル達の個性を無視した方針に賛同できないというわけです。なぜ美城常務は頑なに自身のやりかたを押し進めるのでしょうか? 今回はこの点について考えてみたいと思います。

アイドルの稼働率を左右する「企画」機能

アニメにおけるアイドル達の仕事風景から、発注元の多くが大手メディアやイベント会社であることが伺えます。その合間を縫って346も自社主導の単独イベントを開催しているようですが、比率としては前者の方が多いように思えます。

この状況下では、最終消費者に提供するテレビ番組やイベントの内容は発注元が企画し、芸能プロダクション側はそれに適したアイドルを供給することが求められます。これは代替がある供給側の立場が弱いことも意味しています。

この需要側の力の根源は企画能力にあります。広告やイベントの企画を握ることで、あとはその部品であるアイドルの調達を有象無象の芸能プロダクションから選択できる立場を獲得しているわです。

マーケットインに舵を切る美城常務

この状況を座して傍観する美城常務ではないようです。前回のブログで、346プロが直面している経営課題として競争激化に伴う受注率の低下を想定として挙げました。その対策として強力なアイドルの市場投入を美城常務は急ぎます。

しかし、実はもう一つ有効な手段があるのです。それは競争をしないことです。どうすればよいのか? 答えは、そうです、「企画」を握るのです。

346の企画力と実行力
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スポンサー
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コンテンツ
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アイドル
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スタッフ
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設備
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選ばれる側
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選ぶ側
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企画
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コンテンツ
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アイドル
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スタッフ
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設備
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この成功例が、最終的に城ヶ崎美嘉が担当することになった化粧品の広告だと考えられます。おそらく美城常務はユーザのニーズを汲み取り、企画会社に先んじてスポンサー企業側とタイアップの契約を結び、広告に関わるオペレーションの計画立案に深く関与したのではないかと思います。ここまで段取りが整えば、あとは自社のアイドルを充てがうだけです。美城常務が仕事内容に自信を示すのは企画の全容を把握できているからでしょう。

しかし、芸能プロダクションが企画を出して仕事が取れるのであれば他の事務所でも可能なはずです。自社に有利な企画が採用されたとしても、アイドルだけで企画を実現できない発注側は、結局他の業者を選定し評価し管理する必要に迫られます。

ここで346プロの総合力が発揮されます。常務として346プロの全事業を見渡せる彼女は、企画とセットで自社の関連事業部をパッケージとしてまとめて売り込むことを考えるはずです。おそらく346プロには、美術や音響やカメラマンといった専門のスタッフ、衣装や撮影場所といった設備、関係者とのスケジュール調整などのマネジメントができる人材、などなど、一括で提供できるケイパビリティがあるはずです。こうした潤沢なリソースを武器に、美城常務は案件が競争入札の土台に載せられる前に、一括受注を獲得したというわけです。

 

企画
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アイドル
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スタッフ
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設備
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スポンサー
が負担する
コスト
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芸能事務所
のマージン
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企画側が個別に調達した場合
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346に一括発注した場合
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企画
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アイドル
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スタッフ
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設備
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スポンサー
が負担する
コスト
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346の
マージン
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社外調達による管理コストが減るので
ある程度のマージン減額は可能
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穿った見方をすると、アイドルの魅力で真っ向勝負しない卑怯な手段だと映るかも知れませんが、このように需要サイドから逆算して売り方を組み立てるマーケットインのアプローチは、アメリカ帰りの美城常務にとって何の違和感もないやり方なのだと思います。

デレアニで見る限りプロジェクトクローネは美城常務の我侭で編成されているようですが、きっと市場調査からクール路線のトレンドを読み取り、そこからユニットのコンセプトを固めて、最後に都合のよいアイドルを探すという順番で物事を進めているのでしょう。

美城常務にとっては仕事を形にすることが第一優先なのであって、どのアイドルを起用するのかは優先順位が低い事項なのです。市場動向とそれに対応するコンセプトが重要なので、アイドルが嫌だと言えば別に代わりを探すだけの話というわけです。

美城常務が問題視するプロデューサーのプロダクトアウト志向

マーケットインとは対を為す概念としてプロダクトアウトという考え方があります。これははじめに製品ありきの発想で、優れた製品を造れば売れるという考え方に繋がります。

アイドルを製品というのは適切ではないかも知れませんが、346のプロデューサー達はこれに近い考え方をしていたと思います。346のプロデューサーには、自分が市場に出そうと思うアイドル達をデザインし、必要があれば調達(スカウト)と加工(レッスン)を実施する権限が与えられています。

しかし、マーケットイン志向の美城常務の立場からすると、プロデューサー達の活動は全て無駄に映るわけです。市場のニーズに合わせ企画したプロジェクトに足りないのはアイドルという部品であって、アイドルの個性から組み上げたユニットのコンセプトなど無用だというわけです。プロデューサーは部品をいつでも在庫から引き出せるように、維持管理をしていればよいというのが美城常務の本音でしょう。

 

もちろんマーケットインが万能なわけではありません。iPhoneのように製品自体がニーズを創造するケースもあります。本来はアイドルもかくあるべきなのだと思います。ちょっと脱線しますが、狙ってもいない女性ファン市場を開拓してしまった菊地真のような例もあります。彼女の本心を考えると若干気の毒ではありますが、アイマスの世界で特定ファン層に独占的な人気を博しているのも事実そうなので、新たな市場を創るアイドルはやはり強いということでしょうか。

 

二人のゲーム・チェンジャー 美城常務と秋月律子

従来のアイマスの世界観ではアイドルは選択される存在でしたが、美城常務はこの前提自体を変えようとしているのではないかと推測しています。彼女のように自社に有利になるよう業界のルールを変えようと試みるプレイヤーをゲーム・チェンジャーと呼びます。

しかし、もう一人、業界のルールを変えようとするプレイヤーがいます。劇場を設立しダイレクトにファンを相手にビジネスを始めた765プロダクションです。生っすか等の大型案件を受注してはいますが、劇場でアイドル自身の人気を高め、やがて発注側から指名されるアイドルを増やすことを目指しているのでしょう。

ここからは少し強めに想像が入ります。

何故765プロは直接ファンを相手にするビジネスを志向するようになったのでしょうか。ここには同事務所の主力プロデューサー秋月律子の想いがあるのではないかと私は想像しています。

秋月律子は自己評価が低いアイドルでした。何故自分がアイドルとして評価されるのか。その疑問を解き明かすには、イベントや広告の部品ではない自分をファンにぶつけてみるしかありません。アニマスでも彼女の単独ライブのような描写がありましたが、おそらく小規模ながらそのような機会があり彼女なりの手応えを得たのではないかと思います。

安定した収益だけを考えれば需要側に張り付いた営業戦略を採ればよいのですが、プロデューサーとアイドルを兼務していた秋月律子だからこそ、付属品としてではないアイドルそのもので勝負したかったのだと思います。彼女もまた、美城常務とはタイプの違う、ゲーム・チェンジャーなのだと思います。

企業の力を借りることなくアイドル個人の力を世に問いたい。この秋月君のビジョンは同じ事務所のアイドル達には理解されにくい理想論なかもしれません。しかし、一人だけ、強い共感を示すアイドルがいたはずです。そうです、水瀬伊織です。これは勝手な想像ですが、もしかするとこの辺りに竜宮小町結成前夜の秘話があるのかも知れませんね。

 

さて、デレアニもいよいよ終盤。アイドル達の活躍も楽しみですが、美城常務の改革の行方がどうなるのかも、見守ってみたいと思います。